Mine Sites
2022 - 2024, Photographs, 26 pictures, type C
東京都の最西部に位置する奥多摩はマンガンと石灰石の採掘で有名だった。マンガンと石灰石は製鉄・鉄鋼業には欠かせない鉱物で、それぞれ金属の添加合金元素とセメント、鉄、骨材やガラスなどに使用され、私たちの生活に溶け込んでいる。
鉱物の産出量が右肩上がりだった頃は、石灰石輸送のために青梅線が奥へ、奥へと延伸していくようになり、奥多摩は鉱山都市ができるほど賑わっていた。しかし、一つの鉱山から採掘できる鉱物の量には限りがあり、採掘量が減った鉱山はやがて鉱山跡地へと変わる。
私が訪れた鉱山跡地には草木とともに、人間が活動していた痕跡が点在しており、時間を経るごとにそれらの痕跡は自然に覆われていく。鉱山跡地が鉱山跡地ではなくなっていくこの風景=現象は、自然と人口という二元論的な関係ではなく「曖昧さ」を内包している。私は「Mine Sites」で、この「曖昧さ」を撮影した。